狂愛~狂うほどに君を~




『マクベス、申し訳ないんですがこの子もお願いします』



暗闇からギョロっとした目玉が現れる。


その目玉の前にイアンを差し出すと、大きな口が開かれ長い舌に巻かれていたグレイスが解放される。


マクベスはグレイスの深層心理へと入りこみ、グレイスの記憶を採取していたのだ。


記憶を採取する際には、マクベスの二股に分かれる舌を巻きつけ相手の動きを封じる。




『グレイスはしばらく僕の空間へと監禁して、蛇たちに見張らせておくので何かあればお願いしますね』


『まずはその女の記憶を見やがれ。このメガネザルは記憶を採取する必要はないと思うが?』




マクベスの言うメガネザルというのはイアンのことである。


イアンも、リアム同様動物のカタチをした精霊であるが普段は人型を保っているのだ。


現在は泉の使い魔であるバディにより、力を吸い取られ人型が保てず、メガネザルのような見た目へと変化していた。



『こうしてみるとお目目くりくりで可愛いんですがねぇ』



小さく丸まったイアンをそっと柔らかいクッションへと降ろし、マクベスがグレイスから採取した記憶を受け取った。


マクベスは採取した記憶をマクベスの体内にのみ存在する真っ青な液体の毒へと封じ込める。


泉は小瓶に入ったそれを受け取り、一滴ほど自分の目に垂そうとした。


これは泉のみにしか出来ない芸当だ。


長年かけてマクベスの猛毒に耐性をつけた泉でなければ、体にその毒を垂らしただけで死に至る。


そのため、マクベスの毒に記録したものは外部へと漏れる心配はないのだ。



『泉、その女を封じ込めるなら俺様の中に空間を作ったほうがいい。記憶をみるのはそれからにしろ、何が起きてもいいようにな』



マクベスのその発言に泉は眉根を寄せる。



『厄介な奴と絡んでいるぞ、その女は』



グレイスを一瞥した泉はすぐさまにグレイス一人が収まるほどの空間を創造し、閉じ込めた。



『マクベス、お願いしますね』



その空間ごと、マクベスはグレイスを丸々飲み込んだ。


その様子を見届けた泉は改めて小瓶を握りしめ、真っ青な液体を右目へと垂らした。