狂愛~狂うほどに君を~




『じゃあ、魔力は奪っちゃうね?』



イアンが陽気に微笑む。


刹那、


泉の体から力が抜け、その場に倒れ伏す。



『うーん、こんなに簡単に白蛇の泉のことぶっ倒せるなんて思ってなかったや!さーて、グレイス助けにいってあーげよ♪』



イアンが自分の作った空間を消しとばそうと泉から距離を開けると



『な、なんだよこれ!!』



イアンの空間が歪み、イアンの首から下までが地面へと埋まり身動きが取れなくなった。


どうにか抜け出そうともがくイアン。


金色の瞳に不快感が露わになる。




『ふふ、君はまだまだ青いですね?』




倒れ伏したはずの泉が立ち上がり、イアンを見下ろした。




『この空間は、オレっちが作ったんだぞ!なんでこんなことが・・・』

『そもそも、それが間違いですよ?この空間は君のものではありませんからね。よく周りをみてください』



真っ白な空間が、突如真っ黒な空間へと変化した。



『お分かりになりましたか?空間は君の空間ではなく、僕が創りだした空間だったんですよ。君はまんまと僕の幻術にはめられて勝ち誇ったようでしたがね?』



イアンがこの空間を創りだすよりも僅かに早く泉は自分の空間を創りだし、その空間を利用してイアンの五感を幻術にはめたのだ。



『さっきお前は確かに力を失っていたじゃないか!』

『一時的に移動させただけですよ、このバディにね?』



泉の首元へと現れた碧眼の蛇。




『この子は実に優秀でして、自分の持つ魔力を隠すことが出来るんです』



つまり、バディへと移した魔力をイアンは感じとることが出来ずに泉の魔力は空間が吸い取ったと勘違いしていたのだ。



『君の負けは最初から決定していました。君もマクベスに引き渡すために連れていきます。バディ、お願いしますね?』



バディはスルリと泉の体を伝い、地面を這いながらイアンへと迫る。


イアンの魔力を奪い取るために。