狂愛~狂うほどに君を~




もし、ゆずが自分のことを知らなくてもいいと答えるならば・・。


千が悪魔であることを告白し、このままゆずを囲い続け、どんなものからも隠し抜いて、守り抜く。


だが、ゆずが自分のことを知りたいと願うならば・・・




『知りたいです・・・私、知りたいです。自分が何者か』




この先に待ち受ける闇を、全て自分が引き受ける。


千は心にそう決めた。




『・・・そうか。ゆずが何者なのか、俺の口から話すことは出来ない。記憶の欠片を集めに行くぞ』




書き換えられてしまった記憶を、唯一戻す方法は記憶の欠片を集めること。




『記憶の欠片・・?それはどこにあるんですか』




記憶が書き換えられてしまう前にゆずが心から愛していた人たちが、記憶の欠片を持っている。


だがそれが一体どのような形をしていて、どのように手に入れるのかは誰にも分からない。




『一つ目の欠片を手にしてから、500日以内にすべてを集めきらなければ、ゆずの存在が消える。それでもいいのなら・・』



しかも、かなりのハイリスクを伴うもの。



『・・・・・』



ゆずの表情が曇る。


自分の存在が、消えてしまう。


千と一緒に過ごす日々がなくなってしまう、それが怖い。


だけど、自分のことが何も分からない今・・・自分の存在がないも同然ではないか。


自分が何者か分かれば、千と泉と肩を並べて生きていけるかもしれない。


守られるばかりではなく、力になれるかもしれない。


そんな思いが強まって



『それでも、いいです』



力強く千をみつめる。



『分かった・・』



囲われていてくれても良かったのだが、きっとこの芯の強さがあるから惹かれたのだな。


千も覚悟を決める。