狂愛~狂うほどに君を~



『お待たせしました。お約束通り、迎えにきましたよ?』



泉はついさっきまでいた遊園地へと戻ってきていた。


泉の目の前には喋ることもままならないグレイスがいる。



『ぐったりとしていますね。先ほど言い忘れましたが、この蛇たちは巻き付いたものから魔力を吸い取って僕に還元することが出来るんですよ』



泉が千と魔界で肩を並べる理由がそれだ。


千は元々、自身に膨大な魔力を秘めているが泉には魔力を留める器に限界がある。


しかし、泉が扱うことの出来る蛇たちに敵から吸い取った魔力を温存させ、それを好きな時に還元させることが出来る。


これを出来るのは魔界では泉だけなのだ。


つまり、膨大な魔力を有する千についていけるたった一人だけの存在である。



『もう喋る気力もないようですね?しばらくついてきてもらいますよ。貴方のお仲間の小さな少年も、僕が回収しますから・・安心してくださいね?』



ぐったりとしならがも、目だけは泉を睨み付けているグレイスを泉が抱き上げニッコリと笑みを返してみせた。



『君たちは戻っていていいですよ』



泉がそういえばグレイスから魔力を奪い続けていた蛇たちはスッとその場から消えていった。


泉が作り出す、蛇たちのための空間へと吸い込まれていったのだ。