『かわいいお家、って感じですね。とっても素敵です』
ゆずの笑みに癒されていく千。
しかしゆずの笑みの中に、疲労を感じ取った。
『今日は移動が多かったからな、奥の扉が寝室だ。少し休め』
『すいません。じゃあ、少しだけ』
『ああ。俺はこっちで少しやることがある。何かあったら来い』
千はリビングへと残り、ゆずだけ寝室へと向かった。
ゆずが寝室へ入っていったのを見届けて千は壁際の本棚へと足を向けた。
二つ並ぶ本棚、その一番上の段にある白い本と黒い本を奥へと押した。
すると二つの本棚は下へと沈み、奥から更なる本棚が現れた。
右の本棚には天界に関するもの。
左の本棚には魔界に関するもの。
千は右の本棚から、セラフィムに関する書籍を手に取った。
『手がかりが、必要だからな・・・』
ゆずがセラフィムの血を引いているのか、確かめる必要がある。
血筋がゆずの人生を、大きく狂わせることになるのだから。

