『千さん、お帰りなさい』
千がゆずの元へと戻ればゆずは千に微笑んで出迎える。
『ああ』
『あれ、泉さんは?』
『所用でな。しばらくは帰らない』
やっと、穏やかな時をゆずと迎えられると思っていた。
どうしようもない運命に翻弄されてしまっている。
『すまない』
『何がですか?』
手放すことも、愛情なのかもしれない。
でもそうすることが出来ない。
どうしても、離れたくはない。
『千さん、なんか寂しそうな顔してます・・・』
ゆずが千を抱きしめた。
千よりも小さな体のゆずは、抱きしめるというよりも抱き着いているという表現の方がしっくりくる。
『俺は、お前を・・・』
愛している。
愛して・・・しまった。
この愛は、禁忌。

