『ゆずが治癒力を発動させているとき、ゆずの体を翼を模った光が包んでいた』
ゆずが天界の血を、天使の血を引くものならばそれは疑問になりえない。
『三対だ』
『まさかっ!!』
泉の表情が、さらに硬くなっていく。
ゆずの体を包んだのが、三対六枚の翼だということは千と泉にとってはかなり大きなこと。
神の使いである天使には位階というものがあり、九つに分かれている。
上から
セラフィム、
ケルビム、
トローンズ、
ドミニオンズ、
ヴァーチューズ 、
パワーズ、
プリンシパティーズ 、
アークエンジェルズ 、
エンジェルズ。
位階の最上であるセラフィムは、もっとも神への信仰心を持ち神への愛と情熱をもち体に炎を宿していると言われている。
そしてなにより、三対六枚の翼をもつのが・・最上位階のセラフィムである。
神を除き悪魔ともっとも遠い存在であり、決して交わることが許されないセラフィム。
ゆずの光が模った翼は・・・三対六枚。
魔界で確固たる地位を保持する悪魔の千が愛してしまったのは・・・最上位の天使の血をひいたゆず。
最も欲している存在が天使。
『皮肉なものですね・・』
『ゆずに話をする前に、少し調べてほしいことがある』
『ええ、分かっていますよ。二か月ほど、屋敷を留守にしますが・・・。千はゆずちゃんをつれて少しの間身を隠していてくださいね』
泉はそのまま去っていき、千はゆずの元へと戻る。

