狂愛~狂うほどに君を~




ギリリ


奥歯を噛み締める泉。




『それでは、僕は急いであの二人に追いつかなければいけませんね。ゆずちゃんに手を出したこと、後悔しないといいですね?少なくとも、あなた方は僕と千を敵に回しましたよ?』

『ふふふ、もう手遅れですのよ、泉様』


『手遅れなのは君もですよ、グレイス』



泉がグレイスに笑みを返す。


グレイスの足元から突如現れた小柄な蛇たち。



『な?!きゃああっ』



色とりどりな蛇がグレイスの服の中へと潜り込んでいく。



『安心してください、動かなければその蛇たちは噛みませんよ。ただ、その子たちはみんな有毒です。一匹一匹の毒はそれほど強い毒ではありません。ただ・・わかりますよね?いくら弱い毒でもその数の蛇に噛まれてしまっては大変なことになります』



泉はグレイスに背を向ける。



『しばらくそこにいてもらいますよ?後で君のことを回収しにきます』



泉は車に乗り込み、すぐさまとばす。



『千においつくのは無理でしょうね。屋敷まで急がなくては・・』