『今日、千も誘って出かけませんか?仲直り、しましょう』



泉の作ったスープを口に運ぶゆずに泉が提案する。


昨夜、ゆずの唇を無理矢理に奪ったことを後悔していた泉。


それでもゆずは一緒に食卓を囲んでくれている。


そのことに安堵した。


でも、ゆずが千と自分の関係がギスギスしてしまうことを案じていることはすぐに分かった。


これからも、ゆず一緒にいたいと思うから。


それが自分の望む一番のカタチではなくても。


ゆずの笑顔を守っていける自分でありたい。


だから、ゆずの不安要素はなくしてあげたいと思う。




『本当ですか?!嬉しいです!』




こんなに満面の笑みを向けてくれるのなら、これは間違った選択ではないのだろう。




『ええ、後で千にも声をかけましょう。おや・・・その必要はなさそうですね?』

『千さんっ!』



ゆずが振り向くとそこには千がいた。いつものことながら急に現れる千にゆずは少しばかり驚いた。




『ゆず、どこに行きたいんだ?』




ゆずの頭に手を置き千が尋ねる。


仏頂面ではあるが、優しさのこもった声だ。




『どこでも・・いいですか?』

『ああ』

『ゆずちゃんのお望みとあらば、千はどこにでもついてきてくれますよ』