「あ、ごめん!当たらなかった!?」


すると、ありえない高さから声が降って来て、あたしはそれをポカンと見つめた。

そりゃそうだろう。


ピンクに染まった桜の木に
真新しい制服を着た男の子が座っていたのだから。

しかも、何故か必死に携帯で写真を撮っている。



カシャ、と聞こえるシャッター音を聞きながら
あたしは桜の木に座る彼へ疑問を投げた。



「…何…してるの?」

傍から見たら、あたしは桜の木に話かけてる頭のおかしい子に見えるに違いない。

だけど、気になって仕方がなかった。



「何って、写真撮ってるんだよ。」

「それはわかるけど…。何で撮ってる訳?」

「あ~、そうゆう事?」


そう言いながら
「よし、保存!」と呟いた彼は

携帯を制服のポケットへ入れてあたしを見下ろした。



「妹が入院してるんだ。だから、見せてやろーと思って。」

「…そう、なんだ。」


なんだ、そんな理由か。

てっきり
桜フェチなのかと思ったんだけど。