桜-cherry rain-雨



心の中に居るのは

いつだって
君の存在で。


色付くように

染まる思い出は
いつも桜色。




ねぇ、

思い出は日毎
消えてしまうけれど


色褪せない想いは

ここにずっと
咲き乱れるから。





「…気が付くの、遅いってば…。」

「え?」


あれは、君が見せた


最後の
春の花吹雪。






「どわっ、な、何、」

抱き着いた瞬間、二つの丸筒が足元に頃がって。

泉の首に手を回すと
咲きかけの桜が、あたしの視界に優しく映った。




――今日、君への想いを

卒業します。




素直になれなかった自分にも

ずっと隠してた恋心にも


全部
さよならするから―――。






「…泉、」

「な、何だよ。」


ぎゅっと腕に力を込めると
溢れ出た想いは、もう止められなかった。






「…あたし、ずっと泉の事――。」



ねぇ

もうすぐ桜が咲くよ。



そうしたらさ
また、二人で一緒に見ようね。

繋いだ手を
重なった想いを、未来まで引き連れて。



『きっと運命だな!』

『……運命?』

『そう!俺が好きな桜の下で、桜って名前の君に出会った。』


あの桜雨の下

ずっと
二人で一緒に、ね。






fin,