泉の心は
今、どこにあるのか
あたしに、教えて。
「泉!」
式が終わり、みんながカメラを向ける中あたしは泉の名前を呼ぶ。
もう、躊躇いなんてなかった。
ただ
事実が知りたい。
泉が嘘をついた理由を。
その訳を。
そうじゃなきゃ
きっとあたしは前に進めない。
「おぉ、桜!よかったなぁ、無事卒業出来てさ!」
まぁ、俺も人の事言えないけど、と笑う泉に心が音を立てて。
込み上げる想いは
痛みよりも大きな愛しさだった。
手にした証書筒を強く握り締めると、あたしは高鳴る心臓を抑えるように、口を開く。
「…泉、」
「ん?どーした?」
丸筒で肩を叩きながら
泉はあたしに首を傾げた。
胸に差した花飾りが、あたしの涙腺を壊していく。
「…どうして、嘘…ついたの?」
「え?」
聞き返した泉に
あたしはそれ以上何も言えなくなった。
言いたい事がありすぎて
何から伝えていいのかわからない。
だけど、もう隠しきれない想いだけがあたしの心を支配していた。
――好き。
あたし、やっぱり
泉が好きだよ。

