桜-cherry rain-雨



チェックのスカートをなびかせて、リナはバス停へと走っていく。


その後ろ姿を見つめ
あたしは無意識に口を開いていた。


「リナ!」


呼び止めたあたしに
リナは振り返って、「ん?何ー?」と立ち止まる。



あたしは
何を言おうとしてるんだろう。


だけど
どうしても言わなきゃいけないと思った。




「…泉の事、宜しくね!」


きっと
これがあたしに出来る、泉への最後のエールだから。


今日で、もう最後だから。




「ほら、あいつ結構リナに本気だから…。リナがいいなら、ちゃんと考えてあげて欲しいんだ。」

「…考える、って何を?」

「何、って…。だから、付き合うとか考えてるなら、他の男とは遊んだりしないとか、」



しどろもどろになるあたしに

「…付き合う?あたしと泉くんが?」

と、リナは首を傾げた。



何だか、話が噛み合っていない。



あたしはリナ同様、首を傾げて尋ねる。