桜-cherry rain-雨



呼ばれた声に振り返ると

「…リナ、」

同じように制服を着たリナが、あたしへと駆け寄って来た。



「久し振りー!」

「…あ、うん、」

「そっか、桜のとこも今日が卒業式なんだー。」

じゃあ、途中まで一緒行こ!とリナはあたしの手を引いて歩き出す。


あたしは何も言えずに
黙ったまま、リナに引かれながら小さく溜め息を落とした。



ずっと避けてたのに
何でよりによって今日会っちゃうんだろ…。

本当、最悪だ…。



同じ歩幅で並ぶローファーを見つめ
そんな事を考えていると、リナは浮かれた声色で話し出した。



「てか、最近桜全然あたしの相手してくれないんだもん!寂しかったんだからねー!」

「…ごめん、」


まさか避けられているとは思っていないリナは、流暢な口調で話す。



「もしかして、ついに男でも出来た?」

「…そんなんじゃないって。」

「なーぁんだ、つまんないの~。」

相変わらず、リナとの会話は男の事ばっかりだ。


そんなの慣れっことは言え、さすがに今は聞く気になれない。


それからも
リナの口から吐き出される言葉を適当に聞き流していると、ようやく見えて来た最寄駅。


「じゃー、あたしこっちだから!」

「うん、」