桜-cherry rain-雨



…あたし、変じゃないかな。


街の窓ガラスに映る自分を気にしながらも、泉を一瞥してあたしは尋ねた。


「…髪染めたの?」


その問い掛けに
「あー、」と髪を摘まんだ泉は

「冬休みだしなー。てか、学校もないようなもんだし。」

ヘラっと眉を下げて笑う。



そう、高校3年の冬休みは長い。


既にクラスの大半は進路が決まっているから、ほとんど学校には行かないのだ。


中には暇つぶしで
学校に行く子も居るらしいけれど

ほとんどの子が
こうして最後の冬休みを遊んで過ごしている。


この様子だと、泉は卒業式もこの髪で来るんだろう。



「泉、不良だねー。」

「おい、何だよ桜だって真っ茶じゃねーか!」

「あたしは地毛ですー!」

「嘘つけ!出会った時は真っ黒だったくせに!」

「だから自然になったの!」


道端でぎゃあぎゃあと言い合うあたしたち。



…あぁ、よかった。


あたし、普通に話せてるじゃん。