桜-cherry rain-雨



そんな日々を送りながら
新しい年を迎え、埋もれていく毎日に突然届いたメール。


“3時にS駅集合!”


たった一行。

強引な誘いだけれど
あたしの心を突き動かすには、それだけで十分だった。



いつもの駅。
いつもの時計台の下に、泉は寄り掛かって笑顔を見せた。


「遅せーよ~。」

「…てか、突然すぎるんだってば。」


嬉しいくせに、ぶっきらぼうに言うあたし。


だけど

「そうかー?」

ははっと笑う泉に、ときめく胸は正直だ。



離れたい、と願う一方で
こうして突然呼び出されても来てしまうなんて。

どれだけ矛盾してるんだ、あたしってヤツは。



…でも、無性に会いたかった。



「買い物付き合ってよ。」

「そんな事で呼び出したの?」

「いーじゃんか、別に。」

どうせ暇だろ?
と、歩き出した泉に、あたしは黙って隣に並んだ。


いつもは制服ばかり見てるからか
こうして私服で会うのはどこか緊張してしまう。


泉は泉なのに、何だか別人のようだ。