桜-cherry rain-雨



それから、間もなくの事だった。


「俺、リナに告白しようかと思って。」


泉の言葉は、あたしを嬉しくさせる反面
傷つける事も得意で。

もう、麻痺したと思っていたはずの痛みは
その発言により、更に深みを増してあたしの心を突き刺した。



「…え?」

だけど、心のどこかで
あたしはその時が来る事を、予期していたんだと思う。


思ってた以上に冷静でいられる自分が、何だか不思議だ。



「だから、告白。しようかな、って。」

「あ、あぁ…告白、ね。」

「何だよ、その素っ気ない態度は~!」

「別に素っ気なくなんかないし!」


明日に控えた冬休み。


浮足立った教室は、いつも以上に騒がしくて
あたしのざわついた心の音をも、かき消してくれるよう。



そんな教室の隅で、泉は嬉しそうに声を弾ませる。


「でも、桜には本当に感謝してる!」

「…何でよ、」

「昨日さ、リナから連絡が来たんだよ!」


桜が言ってくれたんだろ?

そう言われ
あたしは「あぁ、」と誤魔化すように笑って見せた。



…リナ、連絡してくれたんだ。