桜-cherry rain-雨



だけど、この想いも
隠してたズルい気持ちも

もうすぐ、お別れ。



「まぁ、気が向いたら連絡しとくよ。」

「うん、よろしくね。」


そう言ったあたしに
ところで、と話を切り返したリナは、ベッドに横たわりながら尋ねて来た。



「桜は就職するんだっけ?」

「うん、もう勉強とか嫌だし。リナは進学でしょ?」

「まぁ~ねぇ!まだまだ遊びたいもーん!」


そう、あたしたちは高校3年生で。



目と鼻の先に近付いた“さよなら”は

泉への恋心を手放す為の春を連れてくる。



『卒業』なんて
まだピンと来ないけれど

確実に訪れるその日は、あたしの恋の終わりを意味しているんだと思う。



でも、それでいいんだ。



この想いを伝える事は
泉とあたしの関係を、きっと違う形に変えてしまうから。



“友達”でもなく

まして、“恋人”でもなく


“他人”へと―――。





「てか、桜もたまには男と遊んだら?もしくは彼氏作るとか!」

「いいよ、今更そんなの面倒くさいもん。」

「寂しいヤツ~。」

好きな人もいないなんてさ、と半ば憐れみの視線を向けるリナに、あたしは渇いた笑いをこぼした。