桜-cherry rain-雨



だけど
既にそんなリナに慣れているあたしは、こんな事じゃ驚いたりしない。

男関係にはちょっと…
いや、最低なんだけど、根は本当にいい子なのだ。



まぁ、どちらにせよ
あたしには関係ない事。


…でも―――。




「ねぇ、リナ。」

「んー?」

「…最近、泉と連絡取ってる?」

「泉?」


ハゲたネイルをいじってたリナは、指先に向けていた視線を宙に投げて「あぁ、」とぼやいた。



「桜の友達の?」

「そう。雨宮泉。」

正確には
あたしの好きな人、なんだけど。


口には出さずに
心の中でそんな事を呟いてみる。



化粧品を置いた棚から
爪と同じ色のマニキュアを取り出すと

「そう言えば、メール返してないかもー。」

なんて、どうでもよさそうにリナは答えた。




あたしは
小さく溜め息を落とし、リナに告げた。


「連絡してあげてよ。元気?とかでいいからさ、」

「えー、何の為に?」

「そりゃあ……泉の為に。」