暗闇に点滅する携帯……
私のかな、彼のかな?

旦那からだったらどおしよ…

今、何時だろ

とりあえず携帯見なくちゃ

後部座席…私の膝の上ですやすや眠る彼の頭を少しずらし、助手席にある携帯に手を延ばした。

待受画面でわかる。彼の携帯だ。

どおしよ……

不安と興味が一気に押し寄せる。

これは見てはいけない。いや、みたら終わりな気がする…。

私と彼は、今、とても幸せな瞬間を過ごしたばかり。

やめよう。

私は携帯を元の場所に置こうとした。……でも、だめだった。見てしまいたい誘惑に負けた。

あの時、見ないでおけば、今こんなに苦しくて切ない思いはしなくて良かったのに。

ポチッ…受信箱

ポチッ…送信箱

全部読んだ……。

やっぱり…見なきゃ良かった。

何度も何度も繰り返し読んでみる。何かの間違いかな。もしかして妹とかだったらいいのに。

そんなはずはなかった…

ホテル。

今度は車の中かなあ?

妹とそんな会話有り得ない。

きわめつけ…

「俺らって、会う時間少なくね?一日ずっと一緒にいられないの?」

決まった。彼には他に女がいた。しかも一日一緒にいたいほどの女だ。

なんだろう…

痛い…痛い…心が震えて、揺れすぎてどこかから落ちてしまうんじゃないかと思うほど波打つ。

心が目から溢れる。涙が、涙がとまらない……。

助けて…誰か…これは嘘だと言って。

ほんとは夢だったとか……。

何でもいい…何でもいいから現実じゃないよって誰か教えて…。

なんで誰も助けてくれないの?

やっぱり現実なんだ。

つらい……

ばかやろう。

女は私だけってこの前言ったじゃん。

嘘つき。

こんなの…こんなのやだよ。