「あたし・・・帰るね」 「送ってくわ!」 由実が拒否しないように、すぐさま俺は手を差し出した。 由実は一瞬迷ったけど、俺の手を取った。 外に出ると雪が降っていた。 吐息が白い。 由実の顔は真っ赤だった。 だから首に自分のマフラーを巻いてやった。 ありがとう、そう小さく由実は呟いた。 「またメールするから」 俺がそう言うと頷いて駅のホームの人混みに紛れていった。 今日の由実・・・おかしかったな・・・ そう感じたのが始まりだったのかもしれない。