帰り道、お互いに独り暮らしだという事で同棲しようという話になった。
私の答えはもちろん、YES。
“前世”の分を取り戻したいというのもあったけれど、

今の金司の事をもっと知りたい。

そう思ったから。
いいよ。と返事を返した時の彼は、本当に、心の底から嬉しそうな顔だった。
‥‥厭らしい事、考えてんじゃないでしょうね。
そう、疑いたくなるくらいに。

「に、してもなぁ~」
「何?」
「いやぁ~、俺、いつお前と接吻したんや?」
「‥は、はぁ!?」

全ッ然分からん。と金司は頭を抱えた。
な、何を急に言い出すのよ!あんたはっ!!

「あんな、華。“契約”はな、接吻してするもんなんや」
「え!?」
「あぁ~‥、“現世”での華との初チュー覚えとらんとか、ショックやわ」

バシィッ!!

「‥ッ~‥」
「‥‥じ、冗談やないで。ホンマにショックなんやで」


殴ったこっちの方が重傷って、どういう事よ‥。
やっぱり、身体の中に鉄板か何か入ってるわ、コイツ。
ていうか、いい年して泣き真似なんてしないでよ!!
あんたこういうキャラじゃないでしょ!!!

「いつしたん?」

シツコイわよ

「なぁ、華」
「あんたが私に襲いかかってきた時よ」
「‥‥あん時か」

その事を思い出した金司は、少し、顔を歪ませた。

「でも、キスしたってわけじゃないのよ!」
「どういう事や?」
「口移しで血を飲ませたの‥」

そう言った後、急に静かになった金司に、私はゆっくりと視線を送った。