あの出来事から一週間経った今。
俺は倒れたりする事も無く、快適に過ごしていた。
「‥何でや」
「何でだろうねぇ?」
「俺に訊くなっ!!」
放課後、校内のカフェで俺たちは疑問を浮かべていた。
血を貰ってから一週間経ったってのに、倒れたりしない俺。
いつもなら、そろそろ目眩や立ち眩みがしてもいい頃なんやけど‥‥
元気、いいんや。
「ねぇ、金ちゃんってさ“契約”の事知ってる?」
「ああ、なんとなくやけど」
「我を失った時、華ちゃんからどういう風に血を与えられたか覚えてる?」
「我失ってんだから、覚えてる筈ねぇだろ」
「ああ、全く覚えとらへんわ」
「‥なるほどね」
葵は、何か感ずいた様子。
紅は‥‥。
「おい、脱げ」
と、言ってきおった。
って‥‥
「は?」
「ええ!?先輩‥、もっと他の言い方っ!!」
「ああ?どうでもいいだろ。ぅおら、さっさと自分の胸元見てみろっ!!」
そう言われて、俺はしぶしぶとシャツのボタンを2、3個外して胸元を見る。
葵と紅は、ぶつぶつと何かを語りだす。
そういやあの出来事の後から、何か知らんのやけど
胸に小さな薔薇の様な模様があるんよなぁ‥。
タトゥーみたいなやつや。
「‥別に、何もあらへんで」
「本当に?」
「ああ、ホンマ」
「何か模様みてぇなのねぇのかよ?」
「例えば薔薇みたいなのとかさ」
「ああ、あるで」
そういうと、二人は石の様に見事に固まった。
「‥‥あんのか?」
「‥‥あるの?」
「あ、あるで?」
これやろ?
と、シャツを退かしてそこを見せた。
すると、葵も、紅も頭を抱えるポーズ。
‥‥なんや、二人して。
考える人の真似っ子かいな。
「それ、出来たのいつだ?」
「ああ、我を失った日やろな」
「って事は、相手は‥華ちゃん?」
「だろうがよ。アイツ、“特別”だったんだな」
何や?
何の話や?
そう言って二人を交互に見れば、二人は俺の顔を見てため息を付いた。
二人が言うには、俺は知らずのうちに“特別”な存在と“契約”をしているらしい。
そしてどうやら相手は、華やろうという事。
え、俺‥いつ華とチューしたねん。
まぁったく、‥‥記憶あらへんのやけど。