胸が、キュッと締め付けられる感覚。
「わかるよ」
俯きながら、泰ちゃんの服をギュッと握った。
「あたしも、同じ気持ちだったもん」
早く夏が来てほしくて
泰ちゃんの声を電話で聞くたび会いたくて
でもいつもいつも
あたしばっかり思ってるんじゃないかって、とても不安で。
だけど泰ちゃんも、同じように思ってくれていたんだ。
「…ごめん、泰ちゃん。泰ちゃんはハゲてない」
「え、謝るとこそこ?」
泰ちゃんはまた笑っていたけれど
ふ、と目が合うと、さっきまでとは違う真面目な顔になった。
あたしは、頭の後ろにある手のぬくもりを感じながら
ゆっくりと引き寄せられる。
そして…
そして、
――ガラッ


