泰ちゃんをジロリと睨む。
それに気づいて泰ちゃんは首を傾げた。
黒髪が優しく揺れる。
せっかく2人きりなのに
って、あたしが悪いんだけど。
免許とったことも教えてくれなかったし。
「泰ちゃんの…ハゲ」
そう言うと、泰ちゃんは右の眉を下げて少し困ったように笑った。
泰ちゃんの大きな手が、あたしの頭を優しく撫でる。
「本当に、蜜葉は寂しがりやだな」
そう呟いて。
その言葉に、ちょっとムッとした。
「じゃあ泰ちゃんは寂しくなかったの?」
すると泰ちゃんは、また困ったように笑う。
「寂しかったよ。寂しくて仕方がなかった。早く夏が来てほしかった。
どれだけ俺が蜜葉に会いたかったか、蜜葉はわからないだろ?」


