それも、ある教科書の中で一番薄いもの2冊。
他は全部泰ちゃんが持って、あたしの部屋へと向かう。
これじゃあ手伝う意味ないんじゃ…。
ってか手伝うって言わないんじゃ…。
「泰ちゃん、あたしもっと持つよ?力には自信あるしっ」
そう言うと、泰ちゃんは顔だけ後ろを向いて
「はぁ…。鈍感」
そう呟くと、あたしの持っていた教科書を取り上げ
スタスタと歩いて行ってしまった。
鈍感…って
もしかして、あたしが部屋で待ってなかったから2人きりになれるチャンスを作ってくれたのかな。
こんな事をしない限り、この家で2人っきりになんてなれないから。
ガチャリとドアを開けると、すでに入って机に山積みの教科書を乗せた泰ちゃんが立っていた。
「部屋で待っててって、言ったのに」
「う…、だって大人しく待ってなんていられなくて」


