──…学校の門をくぐった辺りから、ボールの弾む音と、体育館をバッシュで走り回っている様な音がした。



「よしっ!少し休憩〜!」



そんな声が聞こえて、体育館を見ると、ぞろぞろと出てきた。




「あ!!堀内(ホリウチ)じゃん。どうしたんだ?」

「松谷(マツタニ)くん。あ、そっか。バスケ部だったね。」

「おう。で、堀内は?」

「あたしは、お……彼氏のチームのマネージャーで…」

「え?彼氏…って中学生!?」



無理です。

いつも優しい松谷くんに嘘はつけません…。



「ねぇ、コウ…。松谷くんにだけ、言ってもいい?」

「………いいよ。その人だけなら。」

「ありがと!」



あたしは、松谷くんに近づいて行った。



「松谷くん…。ごめんなさい、嘘をつきました。」

「へ?嘘?」

「あいつはあたしの彼氏じゃないの。…弟…なの。」

「弟!?なんでそんな嘘を?」
「ある事情がありまして…。このことは、誰にも言わないで欲しいの。」

「…わかった。誰にも言わない。」

「ありがと〜!」


やっぱり優しい松谷くん。いい人だなぁ…