あのあと何とか怒りを押し込んでやり過ごしたルゼルは、レリアの部屋に向かっていた。
父親にレリアの顔がバレた。それが一番深刻なことだ。
盛大なため息をつき、レリアの部屋に入る。
ドレスアップしたまま窓際の椅子に座っていたレリアは、ルゼルを見て微笑む。
「お帰りなさい」
「……ただいま」
立ち上がったレリアの細い腰を引き寄せる。
彼女の匂いに、安堵するのが分かる。
「レーア……」
「なぁに?」
小首を傾げるレリアの首筋に顔を埋める。
レリアはくすぐったそうに笑う。
「……なんで今日来たの?」
「一応、私を預かってくれている人だもの。一度挨拶をしておくべきかと思ってね」
「……すっごい余計」
何も知らないでいるレリアに怒りを覚える。
首の後ろに手を差し込み、レリアの唇を奪う。いきなりのことで抵抗してきた。
「んっ…ふぁ……」
抵抗されても、ルゼルは離さない。離したくない。
しばらく口付けていると、レリアの腰が抜けた。それを抱え、ルゼルはベッドまで行く。
レリアをベッドに乗せたルゼルは、彼女に跨りその唇を奪う。
「んぁっ…やっ……クー」
何も言わず、ルゼルは首に口を寄せる。
「あっ…ドレス脱ぐから待って…!」
「やだ」
レリアを力任せに抱いたことが、なくはない。
でも彼女はルゼルを責めたことはない。
甘えている自覚が、ないわけではない。でも一度手に入れた彼女を、手放すことなどできないのだ。
たとえ今の関係が期間限定のものでも。
愛して。
愛して。
愛しまくって。
君の心から、僕が消えないように。
