「うっわ!!顔色わるっ!!」


夜会で会ったときのアルスの最初の一言が、これである。


久しぶりに会ったからと声をかけてみたら、こんなことを返される始末。
その顔から、そんなにも自分はすごい顔をしているようだ。



「ね、寝てないんだろ」

「まぁ」

「というかお前、この頃どうしたんだ?前は女なんかに興味はないなんて言っていたくせに、この頃は女遊びばかりらしいじゃないか。何があったんだ?」

「別に」



説明が面倒だからと説明を省くルゼルの前で、アルスは回りをキョロキョロ見る。


「あの麗しい人は一緒じゃないのか?」

「………」


麗しい人、でもう大体誰だか分かる。だからルゼルは何も答えなかった。



「セヘネ嬢とは?ヤったんだろ?」

「ヤったよ?でもそれから付きまとわれていい迷惑」

「そりゃお前、彼女はお前に初体験を捧げるって言ってたくらいだしな」



そんなこと聞いてやがったのかよ、こいつ。

面倒くさいことに巻き込まれたのはルゼルだから、人事なんだろう。
いつもこいつが何かに巻き込まれたときは僕の方が人事だから。



「お前、ちゃんと寝てんのか?目充血してんぞ」

「ほっとけ」



寝れないんだから仕方ないじゃないか。目が充血するのだってもう諦めが入ってる。


「お前、そんなに夜遅くまで何やってんだよ」

「お前が年中女とやってること」


フン、と鼻で笑いながら言ってやると、アルスは困った顔をした。


「お前、あの人はどうした?」

「あの人?」

「前来たメレイシアみたいな外形の女。お前ベタボレだったんじゃねぇの?」

「……そうだっけ?」