誰よりも僕の心を占領する君の行動パターンは、僕の頭の中に全てインプットされている。
だって君は僕の全てだったんだから。
走って、走って。
君に会いたくて部屋に行った。でも君はいなくて、だったらあそこだと思った。
君が大事にしていた庭。たくさんの花が咲いた、森の中の、薔薇園。
見つけるのは簡単だった。僕と同じ濃い金髪は珍しいから。
――でも、もう一人いた。邪魔な奴。僕が陣取ってたレーアの隣りに立つ奴の黒髪が否応なしに目に飛び込んでくる。
柔らかに揺れる金髪。何の変わりもしない君。
―――その君を抱き締めているそいつは、
君の、なに?
思わず足が止まった。二人だけを閉じ込めるかのようにある幻想的なその空間。
そこに足を踏み入れたのは、誰でもないこの僕。
だからだろう。
普通なら絶対に聞こえない声が聞こえた。
普通の人なら聞こえないはずの声が。
「この子を……産みます」
嗚咽を堪えるみたいな声で。僕以外の男にしがみつく君の声が、しっかりと聞こえた。
なに……?
「大事な方との間に出来た子だもの……絶対に産みたいの」
なにを言って……
「それでよろしいのですか?」
「ええ。お母様に何て言われても良いの。ね?だって私の子だもの」
こ、ども……?
ぐらぐらする。足元がしっかりしてない。まるで安定感がない。
今聞いた言葉と。
君の、僕以外に向けたその美しく愛しい笑みが。
信じられなくて――…
「愛しているの」
もう、なにも考えられなかった。
