銀の月夜に願う想い


今日は何故かトファダがいない。何やら野暮用があるとかないとか。

もしかしたらサボりかも知れないけど、あのトファダがまあ珍しい。



「眠い…」

一人執務をこなしている間、ずっと感じている眠気。それにもそろそろ限界だ。


仕事中なのに寝そうになる。うつらうつらしながら、ルゼルは机に突っ伏した。



この頃ろくに寝れていないせいか、仕事中に睡魔を感じる。

でも寝れても十分程度。それ以上は寝ない。いや、寝ていられない。


レリアがいないから、その存在を求めて腕を伸ばしかけて、いつもハッと目を覚ます。

何かに取り付かれているかのように、十分にも満たない睡眠の間にレリアを求める。


あまりにも依存し過ぎて、自分が馬鹿げていることを再度確認するのに、どうしても治らない。


はぁ…、とため息をついたルゼルはそのまま目を伏せた。











…――匂い。

甘い、匂い。


僕が求めてやまない彼女の――匂いだ。

うっすらと目を開けて顔を上げると、そこには金色の髪がフワリと靡いた。


思わずハッとする。ガバッと起き上がると、でもそこには誰もいない。

「いるわけない…か……」

馬鹿らしい。あんなに期待して裏切られたのに、まだ期待している。

バカすぎる。自分で自分に呆れるほどに。


でも。

「レーア……?」

少しだけ残る匂い。この匂いを間違えるわけは、ない。

「――っ、レーア!」


会いたい。会いたくて堪らない。

だからもう許して?一週間君がいないだけで抜け殻になる僕を。

会いに行くことを――、許して……。