でも少しずつ嗚咽を堪えているだけではなさそうに肩で息をし始める。
「姫……?」
「お腹……痛い」
そう呟いた瞬間、ズルッとレリアが椅子から落ちた。
それをユヒスは受け止める。
「レーア様?」
怪訝な顔をした彼が覗き込んでくる。その顔がどんどん歪んで掠れ始めた。
「ミース!!レーア様が倒れた!」
珍しく切羽詰まった声が聞こえて、バタバタと慌ただしい足音が聞こえてくる。
「お嬢様!!お嬢様しっかり!」
伸ばした手を、誰かが掴む。
その細い手は、男のものではない。
「クー……」
会いたい――…
目を開けたとき、そこにはいつもと同じ光景が広がっていた。
ちょっと首を動かすと、そこにはユヒスが立っている。
「ユヒス……?」
「お目覚めになられましたか?」
「お嬢様ぁ」
泣きそうな声に首を巡らせると、そこにはやっぱり泣きそうなミース。
「もう心配させないでくださいまし……メレイシア様に怒られるのは懲り懲りです」
そう言う彼女の一瞬揺らした瞳に赤が紛れた。
涙で濡れた睫毛が光って、鼻をぐずぐず言わせている。
「ごめんね、ミース」
「レーア様のバカ。私たちがあれほど心配していたのに、王子のことを気になど病んでいるからです」
珍しくルゼルの悪口が彼女の口から出てくる。普段忠誠深い彼女がそんなことを言うことはないけれど。
「王子など……忘れてしまったほうが楽ですわ」
「………」
あんなに二人のことを黙って見守っていてくれたミースさえこんなことを言い始める。
でも忘れるつもりさらさらない。
それを知っているミースは黙ってため息をついた。
