「一体、何におめでとう・・・?」
騒ぐ泉とは対照的に、冷静な私が気に入らないのか。
「もう、せっかく祝福してあげてるのに。」
身体を引き離すと、不満げな表情を見せてくる。
「だから、何に・・?」
「アンタ、まだ気づいてないのね・・・」
盛大な溜め息とともに、憐れみの声が返された。
「・・・は?」
その溜め息の、意味すら分からないんですけど?
「だ・か・ら!
そのヒトに“恋”してるってこと!」
人差し指を私に向けて、推理をするように言った。
「はぁ~~~!?
“恋”って・・・私が好きになってるとでも、言いたいワケ~?」
その動作と答えに、思わず笑ってしまう。
「有り得ないって!!
たった1時間程度しか面識のない人を、いつ好きになるって言うのよ?
僅かな時間の中で、“ドコ”を好きになったと言うのよ?」
「ハァ~、もう呆れてくるわ。
そっち方面に関しては、落第点の女ね・・・」
そんな私に、もはや諦め顔の泉。
落第って、不合格――?
とても失礼なレッテルを貼られてしまった。

