恋 理~renri~



そうだよ・・・・


私には“恋”や“愛”なんて、異次元の世界――



男の人に何かを求めたり、望んだことはない。




会社では、【女じゃない】と言われるし。


自分自身 どう頼ればいいのか、分からない。



だから 頼れるモノは、自分の身一つだけ。



今日の川崎さんも きっと、今までのヒトと同じ――






「なぁ、真咲ちゃん・・・

好きな人や恋人が居るとさ それがまた、自分のパワーに繋がるんだよ。

一人よりも更に、強力なモノになるんだよ。

だから、どうか諦めたりしないで欲しいな?」


「岩野さん…」


岩野さんの伝えたい意味は、よく分かる。




でも、そんな相手・・・・


「・・・私には、出来ないと思います。 こんな可愛げの無い女ですから。」


「可愛げないって、そんな訳ないだろう?

確かに 真咲ちゃんは、1人でやり遂げられる努力家な子だ。

でもそれは、今までに色んな事を犠牲にしてきた結果だろう?」

私の言葉を正すように。

優しくフォローしてくれる。





犠牲・・・・・


この生活を守るために、女性としての努力を放棄した。



それで得てきた物の方が。

遥かに大きいと思っているから。



だから 自身で出してきた、答えについて。

納得しているし、後悔などしていない。




「確かに・・・諦めたこともありました。

でも それが、今の私に繋がっていて・・・何て言うか…、これ以上はもう――」


言葉が上手く見つからなかった。


それでも、このスタンスは変えられない。



私には、亜実と仕事だけでいい・・・



あとのモノは、すべて不要物なんだから――