「真咲ちゃん、どうしたの?」
首を傾げて、見上げる亜実。
ハッと我に返ると、しゃがみ込んだ。
「ううん、何でもないよ!
それより、亜実 遅くなっちゃったお詫びに、今日は食べて帰ろう! 何がイイ?」
頭をヒト撫でして、笑顔で尋ねた。
「ほんとぉ? 亜実、ハンバーガーがイイ!」
途端に、ニコッと笑って言った。
「え~ また、それでいいの?」
「うんっ!」
コクンと、頷く可愛い表情に和まされる。
「フフッ、了解!!」
そうして、ライドへと手を繋ぎ向かった。
ガチャッ――
カランと、音の鳴る古ぼけた、ドアを開く。
「いらっしゃいませ~!って、久しぶりだなぁ!」
「こんばんは。 お久しぶりです、岩野さん!」
店主の岩野(いわの)さんが、出迎えてくれた。
「今日も、いつものでいいかな?」
「はい、お願いします。 亜実、お席で待ってようね?」
私は亜実を引き連れて、指定席へと向かった。
【ライド】は、近所にある
昔ながらの、ハンバーガーショップ。
幼いトキ、母によく連れられて来ていたお店だ。
店主の岩野さんは、こうしてお店に来ると。
まるで、本当の子供のように可愛がってくれる。
両親や身内のいない私達にとって。
イザというトキに、唯一、頼れる大人のヒト。
私は、もちろんのこと。
亜実も、岩野さんが大好き。
きっと、パパの様な存在なのだろう・・・
さっきのように、外食する時には。
必ず、ライドを選ぶのだから・・・

