「私 沢井真咲と申します。
先ほどは、ご迷惑をお掛けしました・・・」
そう言いつつ、名刺を差し出す。
彼も内ポケットから、名刺を取り出してくれる。
「俺は 川崎 大和(カワサキヤマト)!
驚かせたのは俺のせいだし、ごめんな?」
また得意のスマイルをプラスつき。
「年齢はいくつ・・って、女性に聞くのは失礼?」
「あ、いえ・・ 私は25歳です。
川崎さんは、おいくつですか?」
周りからは、女と思われてナイしね。
「あ、俺は28歳!
っていうか、俺のことは大和でいいよ!
俺も、真咲って呼んでいいかな?」
「ハイ・・真咲で大丈夫です。」
カァッと、頬が赤くなりそうだった。
―真咲―
男の人に名前で呼ばれたのは、大学以来。
同僚さえ 「沢井さん」や「係長」としか、呼んでくれない。
だから25歳のいい歳をして、思わず照れた。

