いつもの改札を抜けたけど。
保育園や家とは、反対方向に歩いている。
「泣かせちゃったし・・ご飯でもどう?」
彼から、そう誘われたけれど。
亜実を待たせているから、無理。
初対面の人に、この環境を話すのも憚られるし。
亜実の名前は出さず 時間がないとだけ伝えた。
きっと 不審に思ったよね?
でも、全く動じる様子も無くて。
「そう じゃあ、喫茶店で?」
あのスマイルを返してくれた。
案内されて入ったお店は お洒落なカフェ。
普通の喫茶店なのだと思っていたのに。
お洒落で落ち着いた雰囲気。
カウンターには、数十種のお酒が鎮座されていて。
まさしく“大人のお店”と言った雰囲気。
外食を滅多にしない私は、このお店は初めてだった。

