そう…、どんなに一蹴してしまいたくても――…
「係長がお仕事放棄してまで、用事を優先するなんてぇ。
すっごーく意外なんですけどぉ!」
ワザとらしいリアクションと共に、かなり失礼なことを言ってくるし。
「どういう意味かしら…?」
青筋を立てたいところだけれど、此処は二コリと笑って対処すれば。
「だってぇ~。
係長はぁ、お仕事しか楽しみなさそうですしー?」
グロスでギトギト・べっとりな唇から発せられたのは。
仮にも先輩である私に対しての失礼発言で、かなりムカッと来る!
何なのよ…、この鬱陶しい超性悪女は…!
とうとう、私の怒りのボルテージも最高潮だけれど。
前置きした通りに此処は会社であって、怒りをぶちまければイイものでもない。
「逸見さん、ひとつ良いかしら?」
ブチブチ切れそうな血管と苛つきを抑えて、得意の営業スマイルを駆使して。
「何ですかぁ?」
未だに敬語すら使えないおバカ発言なんか、完全スルーしてしまう。

