「沢井係長!おはようございます」
「あぁ、宇津木君――
おはよう・・・」
会社玄関でバッタリと、宇津木君に出くわした清々しくない朝だ。
「珍しいですね?
係長がこの時間に出社されるのって」
「ハハ…、ちょっとね?」
苦笑しか出来ないほど、今日はモチベーションが下がってるし。
夜更かしと落し物のせいで安眠出来なくて、珍しく寝坊してしまったのだ。
お陰で亜実のお弁当も粗末なモノで…、散々だよ――
「お先に行ってますね!」
「えぇ、それじゃ――」
川島物産の案件について雑談をしていた宇津木君とは、そうして途中で分かれた。
そうだよ…、いつまでも悲しんでいられない。
この先の更衣室で戦闘服に身を包めば、仕事士の自分になるんだから――

