もちろん泉と私の関係は、ソレまでも何も変わらなかったけれど。



その時点が、2人の分岐点だった気がする・・・




こうやって勉強漬けの日々のお陰で東大を卒業して、仕事士と化した私。



かたやそれなりに勉強で有名私大へ入学して、人生を楽しんでいる泉。



学歴なんて求められない、普通のOLとして気兼ねなく働いて。



夜な夜な合コンを渡り歩きながら、新たな出会いを求めている彼女。




そんな普通の満たされた生活を送る泉が、ふと羨ましくなる・・・





「…で、真咲の方はどうなのよぉ?」


散々にノロけたあとで、不意にこちらに話を振ってくるけれど。



「あぁ、仕事はいつもどおりよ?

亜実だって、変わらず元気だしね」


どうと問われて答えるのは、いつでも2つのことだ。




「はぁ・・・」


そんな私の返答が、今日もまた気に入らないらしく。



泉は電話口の私へと聞こえるように、ワザとらしく深いため息を吐いた。