カタ、カタ、カタ…パチンッ――



「う~ん…、出来たぁ…!」


ホッと安堵しながら思いっきり伸びて、仰ぐように天井を見上げる。



亜実が眠ってから、もう2時間経過している現在。



管理職の人間なら、大抵3、4時間の残業になっているから当然だし。



私の場合は仕事を持ち帰らせて貰えるだけ、とても贅沢なこと。



信頼をして下さっている会長だけは、裏切れないものね…。




のどの渇きを感じて椅子から立ち上がり、キッチンへ向かおうとすれば。



テーブル上に置いてあった携帯電話が、ブルブルと小刻みに震え始めた。




私にとっては疲労もピークに達して、イチバン眠りに入りたい魔の時間。



このヒト迷惑なトキを知っていて、電話をかけて来るのは…――