次は、〇〇駅~、〇〇駅~…――
社内で響く特徴的な声色に、心からホッと安堵のため息をついてしまった。
このアナウンスを、どれほど待ち侘びた事だろう…。
この狭い空間で、ずっとイケメンに監視をされているのは辛すぎる――
〇〇駅、〇〇駅~…、開くドアにご注意ください――
今となっては天の助けにさえ聞こえる、車内アナウンスの声。
そそくさと立ち去りたいところだけど プレスを掛けられる方へと振り返った私。
ジッと見られていたせいで、当然のようにバチッと視線が重なった。
「・・・っ」
秀麗すぎる顔だちをマジマジと見れば、なおさら気後れしそうになるから。
「そ、それでは…、本当にご迷惑をおかけしました!」
今度はぶつからないように、軽く会釈をする程度で急いでお詫びをする。
ここでまた失敗をすれば、この時間帯の電車には乗れないもの・・・
アナウンスのあとで開いた扉を見ると、なおさら私の心を急かしていく。
そうして我先にと出口へ向かい、人混みを駆け抜けて電車を降りた。

