独りだったら絶対に受け入れられなかった事実も、彼が居るから大丈夫…。
最後にもう一度水を掛けてからお線香を立てると、跪いて大和と共に両手を合わせた。
“お母さん…、いつも謝るか意地を張るだけだった私だけど。
そんな不器用さに気づいてたよね?…だから、甲斐さんの事をアノ日以来口にしなかったんでしょう?
今日一緒に来た大和とね…、大切な亜実を守って3人で絶対に幸せになるから。
ありがとう…、もう心配しないで見ていてね…”
目を伏せて行った声に出さない思いは、きっと母に通じたと信じているから。
此処で約束した以上、“女に二言は無い”が常套句だった母に見せてあげたいな…。
「…真咲、話がある」
冷たい無機質な墓石を見つめていれば、ふと隣から届けられた真剣な声色。
「ん、どうしたの…?」
いつもと違う緊張した声に驚きながらも、大和の方へとすぐに身体を翻した私。
するとポケットに手を差し入れて、何かゴソゴソと探っているから首を捻れば。
「…何か、分かるよね?」
「・・・ッ」
四角い手のひらサイズの箱を取り出し、ソレをこちらの方へと差し向けて来た。

