恋 理~renri~



広大な敷地内にあっても絶対に忘れる訳の無い場所へと、ようやく到着すると。



手に抱えていた様々な物を地面に置いて、まずは水をひと掛けして綺麗にした。



「…忙しさにかまけて、全然来られなくてごめんね。

それにお母さん、亜実に会いたかったよね…」


「真咲・・・」


「ホント、親不孝な娘だね…」


其処はたくさんの石碑がズラリと羅列する中、少しだけ大きい母が眠る墓地で。



都会のど真ん中に位置する、著名人が数多く眠る青山霊園が目的地だったのだ。



休日だから混雑していると思ったのに、時間的になのか今日は閑散としていて。



バタバタな日常にかまけて、約2ヶ月ぶりとなる母との再会は静かなモノとなった。



「…これね、お母さんの愛した人から預かったの。

今日初めて見たけど…凄い人だったんだね?」


途中でお花を買おうか迷ったけど、きっと最愛の人からのお花を喜ぶと思ったから。



無宗派な家系だったし良いかな?と、花束から抜き取ったソレを水へさした私。



「お母さん…、預かった手紙を読ませてね?」


母が驚くといけないからと、念の為に断わりを入れた私を笑ってるかもしれないけど。



そうして手順を踏んだのち、ようやく大事に持っていた手紙を手にする事にした…。