恋 理~renri~



男性の言葉が“誰”をさしているのか…、その答えはすぐに理解出来たから。



再び大和に視線を送れば、ひとつ頷いた彼もどうやら予測がついたようだ。



「あ、ありがとうございます…」


「――いいえ」


おずおずと遠慮がちにソレらを受け取ると、明らかにホッとした男性の表情。



その顔つきを見ると、初対面だというのに…ひどく懐かしいというか不思議な感覚で。



「もしかして…、あなた…」


「ココでは言わない方が良いです。

受け取ってくれてありがとう、どうかお元気で…“お姉さん”」


「・・・っ」


「真咲・・・」


私が口に発する前に頭をひとつ振って制すと、周りを気にしながら出たフレーズ。



きっと周りには読み取られていない筈だけど、ソレは予想していた事と合点した。



同時に大和が私の名を呼んでくれたから、動揺しないで済んだともいえるのだけど…。



「それじゃあ、私はこれで」


「あ…、ありがとう」


「いえ、どうぞお幸せに」


最後にひとつ優しい笑顔を見せてくれた男性は、そのまま颯爽と去ってしまった。



その瞬間に手がカタカタ震え始めた私から、花束と手紙を抜き取ってくれた大和。