恋 理~renri~



一度聞いた言葉を忘れないせいか、さっきの言葉が何度もリピートされていた。



その度にポロリと頬を流れていく涙は、何だか私の醜い感情を流してくれるようで。



そんな私を支えてくれる大和の肩に、心はどんどん浄化されていく感じがしたの…。




“連太郎さん、今日はとても柔らかい口調だったわね”


“ええ、珍しい…っていうより、初めてじゃないかしら?

あんなに感動した舞台も、口上も、何十年も追い掛けてて初めてだわ…”


舞台の緞帳(どんちょう)が降りて、昼の部の公演に終わりを告げる中で。



周りの大向こう(常連)さんの話が聞こえると、やっぱり口上は異例だったらしい。




「やまと…」


「ん?」


凭れていながら服をキュッと掴んで呼べば、大和が遠慮がちに視線を向けてくれる。



「大丈夫だから…、帰ろう」


「…もう、良いのか?」


「うん…、本当に来て良かった」


大和は“会わずに帰って良いのか”と聞いているから、フルフルと頭を振ってしまう。



これは強がりでも嘘を吐いた訳でもない…、本心から出ていた私の思いだったの。