ただ歌舞伎言葉は難しくて、特徴ある声色で叫ばれるセリフが分からないけど。
借りていたイヤホンガイドから、絶妙なタイミングで流れる説明があって助かった。
小難しい言葉ばかりで、歌舞伎メイクにも驚かされるけど、話がとても面白くて。
どちらかといえば文系派な私のせいか、すっかりその世界に魅了されていると…。
「―――」
アナウンスによって登場を知らされた人物に、胸の痛みをグッと覚えてしまう。
圧倒的なオーラを放つその人へと、私の視線も意識も一気に向いてしまった。
今日こうして歌舞伎座へ来た理由の人…、甲斐 蓮太郎氏の登場で・・・
甲斐 蓮太郎といえば、歌舞伎を知らない私たちでも名前を聞いた事がある人物。
銀座に本宅を構える甲斐氏の一門は、歌舞伎の世界でも群を抜く名門の家系だ。
よく響く澄んでいる低い声に、化粧を纏って一層のコト目立つ華やかな顔立ち。
そして何より、古典芸能として名高い歌舞伎の伝統を重んじる誠実な姿勢と。
現代風にアレンジしたりと、歌舞伎の新たなフィールドを見出した立役者だ。
そんな凄い人が私のお父さんだなんて…、いまだに信じられないけど・・・

