もう泣くよりも前を向いて笑って、本当の意味で強い女性になりたい・・・
「今日は本当に、ありがとうございました」
ジャリ、ジャリと、いくつもの足音を鳴らしながら辿り着いた大和の車。
「とんでもないよ。真咲さん、本当に遠いところまで来てくれてありがとう」
「美味しいご飯までご馳走になって、ありがとうございます」
あれからお父さまにお詫びをしたあと、ようやく色々な事を話した私たち。
だけど時間が過ぎるのはあっという間で、亜実とお母さまの帰宅後に戻る事にした。
「とんでもないっ!あーあ…亜実ちゃん、ばぁあ寂しいな…」
「亜実もかえりたくなーい」
「それなら、このまま一緒に暮らしてよー」
出掛けていた間に意気投合したらしく、ギュッと抱擁し合う2人に笑みが零れる。
「何言ってんだよ…、じゃあ帰るから、ありがとう」
どうやらその微笑ましい光景も、亜実を可愛がる大和には悔しいらしく。
「あっ、バカ息子!何すんのよ!?」
「こうでもしないと帰さないつもりだろ?」
お母さまから亜実を取り上げると、そのまま車に乗せる姿はパパにしか見えない。
「ふふっ、それでは…」
大和に促された私も乗り込もうと、改めて一礼をしてからドアに手を掛けた。

