だからこそ、過去に捉われて泣かせて貰うのは今日だけにしたいと思う。
「っ…大和といると、何だか調子狂う…」
「それはお互い様、…なんだけど?」
首元からそっと腕を離して、彼の整った顔を至近距離で見つめながら呟く私。
今まで見せられずにいた部分を出せば、貴方がソレを笑顔に変えてくれるもの。
「…それなら、頑張らなきゃ」
「楽しみにしてる、…近いウチにな」
コクンとひとつ首を縦に振ったあと、決意めいた言葉に耳打ちを重ねた大和。
「もうっ、そういう話!?」
「この態勢で、言われればなー」
「え…っ、あ…!」
「ハハッ、だから今日はしないから安心しろ」
甘ったるい雰囲気極まりない状況に気づき、慌てて離れればまた笑われる始末で。
「も、もう…!」
泣き腫らした目で怒りまでプラスされた顔は、きっと残念なこと極まりないけど。
不思議なほどに負の感情が消え去った今、私の心の中は大和一色の様相だから。

