私の入社時に長男の恭平氏が社長に就任した為、会長業へと一線を退いたとはいえ。



まだまだ30代後半と若い社長をサポートし、そのノウハウを活かしているのだけど。



大和のお父さまと繋がりがあるの・・・?



疑問を抱えて続く言葉を待っていれば、口を開いたのは私の隣に座る大和で。



「今まで黙ってたけど…、親父と平蔵さんは親戚なんだよ」


「ええええ!?」


アノ会長とお父さまが親戚関係だなんて…、ウソでしょ!?



驚いて雄叫びにも近い嬌声を上げれば、鹿おどしがカコンと小気味良く響いて。



唖然とする私に気遣いながらも、大和はゆっくりと紡ぎ出してくれる…。




「この辺りで川崎っていえば、昔から続く旧家でさ…。

もう引退してるけど…親父も世襲に倣って、一昨年まで県会議員をしていたんだ。

まぁ、俺は議員なんて柄じゃないし、仕事があるからコッチに戻る気はないけど…」


「・・・・・」


フッと一笑して言い切った彼の口調が穏やかでも、突然聞かされては驚くばかりだ。




「うん、平たく言えばそんな感じだが…、真咲さんが固まってるだろう…!

いや、本当は継がせるつもりだったがね…、大和の性格では無理だと諦めたよ。

今はもう私の地盤は、私設秘書を務めてくれていた若い子に託してあるんだ。

だから鎌倉で生活する必要もないし、どうか安心して良いよ?」


「え!は…、はい、すみません…、何だか驚いてばかりで…」


大和の勤めるGELは、同業種の中でも随分給料が高い事で知られているけれど。



このお家の大きさと大和の生活スタイルが合点して、何だか納得してしまった。